干し柿に詰まった甘みが解き放たれて、お米の甘みと絡む、絡む〜……!とろ〜っととろける口当たりは、まるであったか和スイーツ!
禅のおかゆで、旧暦の12月8日にいただく「温糟粥」というものがあるそうで。米に栗や小豆などの「ほくほく系」を合わせたり、酒粕や味噌と合わせたりと、かなり自由な組み合わせ。悟りを開いたお釈迦様が修業からの体力回復に口にしたおかゆといういわれの、滋養に溢れた恵みたっぷりのおかゆなのだそうです。
ルーツは、中国の「臘八節」にいただく「臘八粥・八宝粥」。こちらはナツメや蓮の実なども入った、甘い系のおかゆです。ときどき中華食材店で缶詰のものが売っているから、知っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんなわけで、米×干し柿は、わりとちゃんとした「元ネタ」のある組み合わせ。
日本お感覚だと、米×果実の組み合わせはときに奇抜な印象を受けますが、米といっても一つの穀物。本来の味だけを観察してみたら、ナッツや果実を合わせる小麦のような使い方をしたっていいのですよね。
干し柿の芳醇な自然な甘みがお口いっぱいに広がって、濃ゆいお茶をいただきたくなりました。いやはや、干し柿の甘みとお米の甘み、合うんですねえ〜……!
干し柿のおかゆのレシピ

調理時間:50分
材料(お茶碗2杯分)
- 生米 1/2合(約75g)
- 水 800ml
- 干し柿 2〜4個
- 塩 少々
<ポイント>干し柿はやわらかいものor水につけてから
干し柿は、やわらかくしっとり感がおいしい「あんぽ柿」を4個使用しました。
水分の抜けた干し柿を使用する場合は、一晩程度水につけてふやかすと良いと思います◎

つくり方
厚手の鍋に研いだ米、ヘタを取り除いた干し柿、水800mlを入れる。具材のかたよりがないように鍋底をならして、中〜強火にかける。


鍋の中がぽこぽこと沸いたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。鍋にお箸を渡してフタをした状態で、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火で30分煮込む。

柿の重さでこびりつきやすいため、途中で1〜2度やさしく混ぜると◎
さっとアクをすくいとり、塩で味をととのえる。鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。


フタをして5分ほど放置して蒸らす。器に盛りつけたら完成!

いただきます!気になるお味は?
燃えるような橙色!オレンジって感じじゃないのが、柿らしさですね〜。カタカナの色の名前より、和な色の名前が似合う風合い。

コトコト煮込まれた柿は、くたあ〜……♡

何年か前に「干柿粥」を作ったときは、細かくカットしてから煮込みまして。こちらは全体が柿味に染まって、ねっちょり、もっちりな口当たりでした。

今回のまるっと煮込む干し柿のおかゆは、これまた美味!
スプーンでほぐせるやわらかさで、おかゆと絡ませていただく味の濃淡も、いい感じ◎

まるっと干し柿を2個、刻み干し柿を1個、みたいに組み合わせてみても、おもしろいかもしれませんね。
ふと、「和菓子の甘さは干し柿をもって最上とする」という言葉を思い出しました。和菓子の甘さのちょうどよい加減を表現した言葉。

干し柿のおかゆは、煮込んだことでグッと甘味が増しちゃって。和菓子の基準崩壊させちゃうなあ、なんてことを思ったりしました。笑
砂糖がまだまだ貴重だったころは、きっと干し柿のこの甘さは、クラッとくるほど甘い、高貴なものだったのだろうなあ。
いやはや、朝からゆったり、贅沢なおかゆさんでした。
と〜〜〜ってもおいしかったです!ごちそうさまでした!
中華食材店に売っている「八宝粥」。
お豆とか、小豆とか、ゴロゴロ入っていてぜんざいみたいでおいしいですよ♡




