わたしが「きんかんのおかゆ」に出会ったのは、おかゆレシピ本の名著、ウー・ウェンさんの『北京のやさしいおかゆ』がきっかけでした。
見出しをみて「き、き、きんかん!?フルーツだよね!?」と驚くのも束の間。
寒さが厳しく、空気が乾燥する冬の北京に暮らす人々の知恵が生み出した、すばらしいおかゆの一つ。
(『北京のやさしいおかゆ』P.73「きんかんのおかゆ」より)
大・絶・賛……!すばらしいおかゆのひとつって……そんなに!?あ、でも表紙になってる……!と、びっくり仰天。
でも、つくってみると、なるほど納得、なのです。
ちょうどあんみつに入っている「求肥」と「あんず」のような感じで、「お米の甘み」と「フルーツの酸味」はおいしいおいしい神構成。まったく違和感がないのです。
鍋からふつふつと湧き出る華やかな金柑の蒸気がお部屋に広がって、食べる前からやさしい気持ちになれて。食べたあとのさっぱり感も心地よくて。一度でメロメロになっちゃいました。
先の書籍のレシピとは材料や分量、手順が異なる、鈴木家流のきんかん粥です。冬の元気チャージに、是非。
きんかん粥のレシピ
おすすめシーン:のどのケア、冷え改善、二日酔いの朝
調理時間:50分
材料(お茶碗2杯分)
- 生米 1/2合
- 水 750ml
- きんかん 5個程度
- 塩 小さじ1/3
おこのみで
- おろし生姜
- お砂糖やはちみつ
つくり方
きんかんをよく洗い、半分に切る。
鍋に米、きんかん、水750mlを入れる。具材のかたよりがないように鍋底をならして、中〜強火にかける。
鍋の中がぽこぽこと沸いたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。鍋にお箸を渡してフタをした状態で、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火で30分煮込む。
塩で味をととのえる。鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。フタをして5分ほど放置して蒸らす。器に盛りつけたら完成!
いただきます!気になるお味は?
ふわ〜……!きんかんの甘酸っぱさと、お米の甘さと。香りが華やか!
水分多めに仕上げることで、きんかんの「じゅわ〜」が引き立ちます。う〜ん、これこれ!◎
火が入ったきんかんは甘みよりも酸味が際立つため、お砂糖や蜂蜜をかけて食べると一層美味!
甘味のある食材、さつまいもや小豆を合わせてもおいしいし。
おかゆの具としてのきんかん、もっと使いこなせるようになりたいな〜と思ったのでした。
と〜ってもおいしかったです!ごちそうさまでした。
食べたいに素直になると必要なものが手に入る
「今朝はどんなおかゆにしようかな〜」と冷蔵庫をながめて「久しぶりにあまずっぱ系にしよう!」と決定した、きんかんのおかゆ。
コトコト煮込み始めてから薬膳の本をみたら、ちょうど「酒の酔いをさます作用がある」と書いてあってびっくり。
まさに今朝!若干の二日酔いだったのです。
自然と「食べたい!」が湧いてきたものがちょうど自分に必要な食材で。おかゆって、こういうことが頻繁に起きるんですよね〜。栄養学的な知識や薬膳的な視点をもとに、食べるべきものを決めるのではなくて、自分が素直に食べたいものを選ぶと、必要なものが自ずと手に入っちゃう、という。
この感覚のようなもの、とても大切だし、すごく自信になる◎
やっぱりおかゆって、すごいです。
今週もがんばれそう!◎
おかゆと一緒にがんばります。
気を巡らせるので、気分の悪いときや食欲不振におすすめ。(中略)いずれも酒の酔いをさます作用があるのでお酒をのんだあとや二日酔いのときに……
『増補新版 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』喩静・植木もも子、2018年、西東社 P.198「ゆず・金柑」より