人間のA面とB面②、TikTokのすごさのこと|雑記#0040

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人は、他者に見られる前提の社会的な姿(A面)と、他者に開示しない前提の個人的な姿(B面)を持っている。

SNSにおいても、A面とB面のすみわけがある。媒体によって、社会的なA面とパーソナルなB面が、自然と使い分けられているように思う。

InstagramやFacebookは、A面が色濃くでるSNSだ。Facebookは名刺的なA面、Instagramは演出されたA面と言ってもいいのかもしれない。いわゆる「SNS疲れ」が起きるのはこのA面領域のSNSだ。

X(Twitter)は、A面とB面が混在する独特の空気がある。匿名性と注目されたい欲が巧妙に入り混じっている。前回の記事で触れた、「超加工コンテンツ(=リアルっぽく見せかけたA面的な発信)」が多く見られるプラットフォームでもある。(参考:人間のA面とB面、超加工コンテンツのこと|#雑記0039

そして、稀有な、TikTok。TikTokは圧倒的にB面のメディアだと思う。

TikTokといえば、歌って踊って、短時間で役立つ情報を作り込んで……と、いかに目立つかを競うA面的なSNSというイメージを持たれがちだ。でも、それはごく一部の発信する側のアカウントに限った話である。TikTokを構成しているのは大量の「見る専」アカウント。ほとんどのユーザーは投稿数ゼロ、フォロワー数もほぼゼロに近い、「見る専」アカウントなのだ。

しかも、いわゆる「リア友」同士でのつながりがないことが多く、見る専ユーザーは他者からの見え方を気にしない振る舞いができる。いいと思えば「いいね」をつけるし、興味があるものを興味に従ってフォローできる。コメント欄には、テレビの前でつぶやく独り言のようなリアルな声が吹き溜まる。

Instagramではそうはいかない。いいねをつけた・つけてないで角が立つ世界も存在するし(めんどくさ!)、フォローひとつにも「このアカウントをフォローしてるのが友達にみられちゃう……」という躊躇が発生する(だからみんな捨て垢を持つのよね)。コメント欄は社交の場、日々のわたしの延長線での振る舞いが必須だ。

TikTokは、すごい。ここまで人のB面をすくい上げるシステムが、他にあるだろうか?

恐ろしいことに、TikTokのアルゴリズムが拾い上げるコンテンツは、そのユーザーのリアルな興味を限りなく正確に映し出す。Instagramの「友達に見せる用のディスプレイ」的な、A面の、そういう興味ではない。もっともっと奥深い、自分でも気づいていなかったような深いB面の興味に、どんどん寄せてくる。

「ほんとうの自分とはなんだろう」「自分の好きなことってなんだろう」と悩んでいる人がいたら、何も気にせずに3日くらいTikTokに浸ってみるといいと思う。「あなたのリアルは、あなたのTikTokのフィードですよ」という回答は、そんなにズレていない気がする。

友達が「TikTokってかわいい猫ちゃんの投稿がいっぱいで癒される〜」と言っていて、ハッとした。

ここだけの話、

「TikTokって、バカっぽいコンテンツばっかりだよね」
「TikTokの露出って、どんどん過激になってるよね」

……みたいなことは、思っていても、外で言わない方がいいやつかもしれない。

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運営者情報

お粥研究家。24時間おかゆのことを考えている人。「食事でじぶんを整える」をテーマに、毎朝の自分の体調に合わせたおかゆを作っている。お粥を作るのも食べるのも見るのも大好き。

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