ブルーチーズの一種である、ゴルゴンゾーラ。
実は、国産ゴルゴンゾーラは絶対に存在しないのです。
なぜなら、PDO(Protected Designation of Origin)という「本物を守るための名前の盾の制度」で守られているから!
国産ゴルゴンゾーラは存在しない
「ゴルゴンゾーラ=ブルーチーズ」という雑な理解だったのだけれど、レシピを書くにあたってあらためて調べたら、びっくり!
ゴルゴンゾーラは、イタリアの「特定地域・製法でつくられたブルーチーズ」。
イタリア国内の特定の生産地・熟成場所であること、原料はパスチャライズ牛乳というものだけ、熟成期間、製法などが細かく規定されている。形は円筒型で、サイズは高さ13cm以上、直径20~32cmという決まりまであるらしい。(!)
これらの細か〜〜〜い規程を守って作られたものだけが、ゴルゴンゾーラを名乗ることができる。
PDO(原産地名称保護 / Protected Designation of Origin)」というEUの制度で守られている名称なのだという。※スペインやイタリアではD.O.P.
日本でもゴルゴンゾーラに似た風味のチーズをつくることは可能だけれども、あくまでも「ブルーチーズ」「青カビチーズ」「ゴルゴンゾーラ風」として表記される。だから、国産ゴルゴンゾーラは存在しないっていうワケ。
わたしが作ったおかゆは、小林牧場物語(国産)のブルーチーズを使ったので、「ゴルゴンゾーラソース」は名乗れない!「ブルーチーズソースかけ ほうれんそう粥」という名前にしたのでした。


その土地だからこその食材を守る仕組み
調べてみると、ほかにもいろんな食材が守られていた。
たとえば、「パルミジャーノ・レッジャーノ」も、北イタリア特産のPDOで保護されたチーズ。
原料は地元の牛乳のみ、製造・熟成・検査まですべて規定地域内で行う、最低12ヶ月の熟成など、こちらも細かく基準が決まっている。
「パルメザン」は一部の地域ではOK。たとえばアメリカでは一般名詞として定着しているため、アメリカ国内で製造したチーズにも「Parmesan」と表記できるらしい。ただし「Parmigiano Reggiano」という完全な名称はもちろんNG。
ほかの代表例だと、やはり、シャンパンだろうか。
シャンパンも、フランス国内のPDOに準ずる法律「AOC(原産地呼称統制)」で保護されている。
フランスのシャンパーニュ地方での製造、ブドウの品種や栽培方法(手摘みのみ!)、瓶の中で二次発酵が行われること、15か月以上の熟成……地域・品種・製法のどれかひとつでも欠けてしまうと「Champagne」とは名乗れない。そりゃ貴重なモノなわけだ。
ちなみに、「シャンパン製法」、「シャンパーニュ製法」というはOKだという。
日本の保護制度の歴史は10年ほど
日本国内での特定産地での特産品保護の仕組みは、2015年にスタート。農林水産省が管轄の「GI(地理的表示/Geographical Indication)」という制度らしい。
富士山がデザインされた丸いマーク……うーん、見たことあったかなあ〜……?


( https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2501/spe1_01.html#main_content )
でも、登録されているものを聞いたら、知ってる知ってる〜〜〜!の、連続!
夕張メロン、神戸牛、宮崎牛など、地名のついたものもあれば、揖保乃糸、八丁味噌、ちんすこうも登録されていて、びっくり!(ちんすこうは菓子類で初めての登録だったらしい!)

お菓子もOKという情報は、夢が広がる。おかゆも、いつか「これは○○地方でこう炊かれる粥で……」とGI化(PDO化)されたらおもしろいな〜なんて未来を想像したりもしたのでした。
まとめ
その土地だからこその食材の価値を守るということは、おいしいの保証になるだけでなく、生産者さんを守る仕組みにもなる。
EUのPDOや、日本のGIリストをみていると、ぶっちゃけ「お金になりそうな特産品」から登録されている印象があった。模倣品から守る目的が大きい仕組みだから、模倣されがちなものから登録が進むのはそりゃそうだのだろうと思いつつ、いろんな地域の途絶えそうな食文化を守れる可能性がある仕組みだと思った。
承認制度自体の認知度が上がれば、経済効果も生まれ、今はまだマネタイズがうまくいかずに途切れそうになっている食文化を、再興・維持できるようになるのかもしれない。
今年のふるさと納税は、「GIマーク」に注目して選んでみよーっと!
ゴルゴンゾーラから、よい学びを得ました◎
参考:

