長芋のほくほく・シャキシャキ・ねばねばの3つの食感がたのしめる、とっておきのおかゆをご紹介します。このおかゆ、自信作です。
ポイントは2つ。ひとつめのポイントは生米にごま油を絡めてからつくること。中華粥の作り方をヒントにした工夫です。
ごま油が加わることで、香り面で個性がほぼないという長芋の弱点をカバー。おかゆ全体が隙なしのおいしさになります。
もうひとつのポイントが、長芋を3パターンの下ごしらえをすること。
煮込む長芋は輪切りに。断面を断ち切ることで、ほくほくとした食感を引き立たせます。
生のまま最後にのせる長芋は、角切りにとすりおろしに。シャキシャキ・ねばねばで、しあわせ〜…!
う〜ん、どの食感も甲乙つけがたい。だからこそ、長芋の魅力をぎゅっと一皿でたのしみましょう!
長芋は古くから漢方薬として利用されてきたほど栄養豊富な食材。塩分を排出する効果や、疲労回復効果があるので*、むくみが気になる日や、元気が欲しいときにもおすすめのおかゆです。
*「やまいもに含まれる成分は豊富で、疲労回復効果のあるアルギニンや、体内の塩分を排出するカリウムも含まれています」「やまいもは、ヤマノイモ科に属するいも類の総称で、長いもや自然薯、いちょういも、つくねいもなどがやまいもとして流通しています。どの種類も滋養強壮作用があり、古くから漢方薬としても利用されてきました」
『NHK出版 からだのための食材大全』池上 文雄 (監修)ほか、2018年、NHK出版 P. 102「やまいも」より
基本となるレシピのほか、記事後半では長芋・とろろを使ったおかゆのアレンジについて、お写真たっぷりでご紹介いたします!
生米からつくる『中華風長芋粥』のレシピ
調理時間:50分
材料(お茶碗2杯分/どんぶり1杯分)
- 生米 1/2合(約75g)
- 水 750ml
- ごま油 小さじ1
- 長芋 適量(200g程度)
- 塩 小さじ1
お好みで
- お醤油またはめんつゆ
<ポイント>長芋・山芋・自然薯でも◎
山芋(やまいも)、自然薯(じねんじょ)でもOK。これらをすりおろしたものが「とろろ」と呼ばれています。
作り方
厚手の鍋によく研いだ米、ごま油を入れて軽く混ぜる。水750mlを入れ、フタをせずに中〜強火にかける。
お鍋がふつふつとしてきたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。ふつふつと波打つ程度の弱〜中火に20分かける。この間に長芋を輪切り・角切り・すりおろしにしておく。
輪切りにした長芋だけをお鍋に入れる。先ほどと同様にフタをして、さらに10分煮込む。
アクをさっとすくい取り、塩で味をととのえる。全体を混ぜたら火を止める。フタをして10分蒸らす。おかゆの上にすりおろした長芋、千切りの長芋を乗せたら、完成!たらりとお醤油をかけて召し上がれ。
詳しい作り方
写真つきで作り方をご紹介します。
①米に油を絡める
厚手の鍋によく研いだ米(1/2合)、ごま油(小さじ1)を入れて、軽く混ぜます。
<ポイント>ごま油は何のため?
ごま油が「出汁」の役割を果たします。仕上がりがベタつくことはありません◎
水750mlを入れて、中〜強火にかけます。
お鍋はフタつきの厚手のものがおすすめです。今回は宮崎製作所ジオ片手鍋18cmを使用しました。
<ポイント>ツヤツヤした素材のお鍋がおすすめ
製品にもよりますが、一般的に土鍋は油を使うお料理に向いていません。土鍋の空気穴に油が詰まることで乾燥状態にムラが生じ、破損につながる恐れがあります。ごま油を使う今回のおかゆには、ツヤツヤした素材のお鍋のご使用をおすすめします。
②コトコト煮込む
お鍋がふつふつとしてきたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜます。
鍋にお箸を渡して、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火に20分かけます。
<ポイント>吹きこぼれを防止
お箸をかませてフタをすることで、吹きこぼれを防止することができます。
この間に長芋を輪切り・角切り・すりおろしにします。
<ポイント>皮はむく?むかない?
今回は長芋の綺麗な白を生かすために、角切りとすりおろしは皮をむきました。煮崩れを防ぐために、輪切りのみ皮つきにしました。
③輪切りにした長芋を鍋に入れる
輪切りにした長芋をお鍋に入れます。
先ほどと同様にフタをして、さらに10分コトコト煮込みます。
④味つけ&蒸らし
アクをさっとすくい取り、塩(小さじ1程度)で味をととのえます。
鍋全体をゆっくりとまぜたら、火を止めます。
フタをして5〜10分、放置して蒸らします。
おかゆの上にすりおろした長芋、千切りの長芋を乗せたら、完成です!
たらりとお醤油をかけて召し上がれ。
いただきます!気になるお味は?
わあ〜、真っ白できれい!ごま油の香りがふわっと広がります〜…ぎゅるるる〜とお腹のすく香り!ごま油、いい仕事しています。
そしてこのおかゆの主役!3つの食感の長芋はというと……
煮込んだ長芋は、ほくほく。角切りは、シャキシャキ。すりおろしは、ねばねば!
ほくほくの長芋にねばねばの長芋を絡めながら食べるのもおいしいし、おかゆとシャキシャキの長芋を一緒に食べるのもおいしいし……ああ〜……どこを食べてもおいしい!
たらりとお醤油をかけていただきました。お醤油の代わりに、めんつゆやポン酢もおすすめです。わさびを添えてもおいしいだろうなあ。
体調を崩しているときでも、香りと食感が豊かなこのおかゆならぺろっと食べられそう。おいしくて、食べやすくて、元気になれる、優しいおかゆでした。
アレンジするなら?
長芋とおかゆの相性は抜群!長芋の豊かな食感はどれもおかゆと相性が良いですし、冷たいとろろと温かいおかゆの「あったかつめた」が、猫舌さんやのどが痛いときにも食べやすいのです◎
今回の「中華風長芋粥」と同じで、とろろ・長芋をおいしいおかゆにするコツは「香りをプラスすること」!
長芋は香りが良いわけではないので、香りの良い食材と合わせるとぐぐっとおいしくなるのです。
例えば、長芋を白粥の上に乗せるなら、す〜っと爽やかな梅干しと青しそを合わせて。
すりおろした長芋「とろろ」を上に乗せるのであれば、そそる香りの納豆を混ぜ込むのもおすすめです!昆布出汁で炊いたおかゆにのせました。
桜の塩漬けを刻んで混ぜ込むと、おっしゃれ〜!
春の香りも癒されますし、色合いもとても綺麗です〜…!程よい塩っけが、よきよき。
鉄板の「とろろ×卵黄」も、香りの良い食材と合わせるとワンランク上の仕上がりに◎
桜えびと炊いた風味豊かなおかゆに、とろろ、なめたけ、卵黄を乗せました。
おかゆ×さくらえびもおいしいし、おかゆ×とろろもおいしいし……つまりは完璧においし〜い!
組み合わせは無限大!ぜひ、自分好みの「長芋粥」をみつけてみてくださいね。
みなさんのいただきますが笑顔でありますように!ごちそうさまでした!