「ラクをする」という誠実さ——わたしはへなちょこなので|雑記#0063

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気力と体力が潤沢な、頑張り屋さんとの仕事は難しい。

ラクをする、という視点がないからだ。

私は爆発的な集中力がある代わりに、持続力がない。1日のうちで人間の姿で頑張れる時間が限られているから、とにかく段取りがキモになる。

気力と体力に恵まれた人たちのように、手に届くものから「とりあえずやってみる」選択をすると、地獄をみるのだ。

「怠慢・短気・傲慢」——プログラマの三大美徳。

IT業界の人なら一度は耳にしたことがある、有名な言葉だ。

有名なプログラミング言語を開発した天才の言葉で、「怠慢・短気・傲慢」のマインドこそ、優秀なプログラマにとって欠かせない素養だという。

怠惰だから、同じことを何度も繰り返したくない。

短気だから、めんどくさいことを避けようとする。

傲慢だから、自分の意見を持ち、きっちり仕事をする。

「怠慢・短気・傲慢」のマインドが、できるだけラクな方法で、円滑に、トラブルなく進められるかという視点をつくる。

逆はどうだろう?「勤勉・穏健・謙虚」マインド。

勤勉だから、同じことを何度でも繰り返せる。

穏健だから、めんどくさいことにも淡々と対処できる。

謙虚だから、いろんな人の意見を集めようとする。

……まさに、すばらしい人格者だ。

時間、予算、気力、体力……とにかく潤沢なリソースがあれば「勤勉・穏健・謙虚」なやり方でもうまくいくのかもしれない。

「努力すれば何とかなる」世界線で生きている人と、「どうにか努力を減らす」世界線の人では、そもそも設計思想が違う。

頑張り屋さんとの仕事が難しいのは、価値観の前提が違うからなのだろう。

私には絶対できない努力の仕方がある。逆に、私のやり方はときどき「すげえ」となるらしい。

世界は「頑張る人」と「工夫する人」で回っている。どちらが欠けても、たぶんうまく回らない。うまく噛み合えば、それがチームになる。

それぞれの得意を生かして、うまいこと共存していけるといい。

へなちょこなことにも、誇りを持とう。自分のダメさ具合に凹むことがあっても、へなちょこだからこそ、工夫しようと思えるのだから。

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運営者情報

お粥研究家・料理研究家・文筆家・日常思想家。著書『日本、台湾、韓国etc. ととのうおかゆ365日』(KADOKAWA)。おかゆを通した食文化と暮らしの思想をテーマに、コラム執筆、レシピ開発、コンサルティングなど幅広く活動中。NHK 「あさイチ」、読売新聞、ほぼ日などに出演。JAPAN MENSA会員。

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