根っこつきのせりを手に入れたら、せり粥はいかがでしょうか。きりたんぽ鍋やせり鍋もおいしいけれど、香りが引き立つおかゆには、おかゆだからこそ出会える特別なおいしさがあるのです〜……!
せり粥を存分にたのしむポイントはせりを葉・茎・根に分けて調理すること。
この一手間で、葉っぱを噛み締めたときにふわっと鼻から抜ける香り、茎のシャキシャキとした歯触り、根っこのごぼうのような力強さのあるせりの風味……せり好きにはたまらん、せりの魅力たっぷりの一皿に仕上がります。
せりには、貧血や高血圧を予防する働きや、肩こりを和らげたり、ストレスを緩和する働きがある*のだとか。せりを食べると巡る感じ、ととのう感じがするのは、気のせいじゃなさそうです。
*「血液を正常で健康な状態に保ち、貧血や高血圧を予防するほか、肩や首のこりを和らげる効果も。特有の香りや苦味成分には、ストレス緩和の作用があります。」
『増補新版 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』喩静・植木もも子、2018年、西東社 P.136 「せり」より
基本となるレシピのほか、記事後半ではおすすめのアレンジについてご紹介いたします!
生米からつくる『せり粥』のレシピ
調理時間:50分
材料(お茶碗2杯分/どんぶり1杯分)
- 生米 1/2合(約75g)
- 水 700ml
- せり 1/4〜1/2束
- 塩 小さじ1/2
トッピングに
- 海苔の佃煮 など
<注意>野草のせりはこの作り方ではNG
スーパーで購入した、生食ができるせりを使用しました。自生のせりを使った「せり粥」は別鍋でアク抜きをするなど調理方法が異なるのでご注意ください。
作り方
せりを葉・茎・根っこに分ける。根っこを裂くようにばらし、茎を刻む。
厚手の鍋によく研いだ米、根っこ、水700mlを入れる。鍋を中〜強火にかける。
鍋に白い泡がふつふつと立ったら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。鍋にお箸を渡してフタをした状態でふつふつと波打つ程度の弱〜中火に30分かける。
アクをすくいとり、塩で味をととのえる。鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。せりの茎をおかゆの上に置くように入れる。フタをして5〜10分蒸らす。せりの葉とともに、器に盛りつけたら完成!
詳しい作り方
写真つきで作り方をご紹介します。
①せりの下ごしらえ
まず始めに、せりを葉・茎・根っこに分けます。
根っこを裂くようにばらし、茎を刻みます。
ふわ〜っとせりの香りがキッチンに広がってわくわくしてきます。
<ポイント>根っこは念入りに洗って
ごぼうのようにいいお出汁を出してくれるせりの根っこ。根っこは念入りに水で洗います。根っこに絡みついた土がどうしても落ちない箇所は、勿体無い気がしても入れない方が澄んだお味に仕上がります。
②鍋の温度を上げる
厚手の鍋によく研いだ米、根っこ、水700mlを入れます。鍋を中火にかけます。
旨味の詰まった根っこは「煮込む」。この段階からお鍋に入れます。
③コトコト煮込む
鍋に白い泡がふつふつと立ったら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜます。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火に30分かけます。
<ポイント>
お箸をかませてフタをすることで、吹きこぼれを防止することができます。
④味付け&蒸らし
アクをすくいとり、塩(小さじ1/2程度)で味をととのえます。鍋全体をゆっくりとまぜたら、火を止めます。
せりの茎をおかゆの上に置くように入れます。フタをして5〜10分、放置して蒸らします。
<ポイント>せりの茎はシャキシャキに!
このとき、せりの茎は混ぜ込まず、おかゆの上に乗せるようにして蒸らします。最低限の加熱にとどめ、シャキシャキ感を残すことができます。
最後におかゆを混ぜ込み、せりの葉とともに器に盛りつけたら完成です!
いただきます!気になるお味は?
わ〜お〜……大人な香り!凛々しいせりの香りがしっかり立っています!
せりの葉、茎、根と、それぞれの特徴に合わせて調理することで、たくさんの具を使ったかのような豪華さがありますね。
噛み締めたときに、ほんのりと感じる春の苦味、ふわっと鼻から抜ける爽やかな香りがまたいい感じです。
この日は、自家製の海苔の佃煮を添えました。
せりと海苔の組み合わせって、ほんとうにおいしいですよね〜。ちなみに、せりも海苔も鉄分豊富な食材なのだとか◎
ふわっと柔らかな葉、シャキシャキの茎、ごぼうのような深みのある根っこ。せりが持つ魅力が存分に発揮されていました。
歯触りも香りも豊かな一皿。
すっきり、さっぱり。ととのいました!
アレンジするなら?
お好みでせりの茎を長めにカットしたり、刻み海苔のトッピングもおすすめです。
長めにカットするとよりシャキシャキ感が増します◎
「せり鍋」をヒントに、「まいたけ」と合わせて。
他にも、鶏肉、長ネギ、ごぼう、えのき、豆腐などの食材もおすすめです。
そして「せり×おかゆ」といえば、超定番なのが「七草粥」。
詳しいレシピはこちら↓
「春の七草のうち、ひとつだけ使って七草粥っぽいおかゆを作るなら?」と聞かれたら、胸を張って「せり」をおすすめします。“七草粥らしさ”を作っているのは、間違いなくせりの香りだと思います。
せり・なずな・ごぎょう・はこべら……せりが一番はじめに挙げられるもの、真っ先にせりのあの香りが浮かぶからなのでは?と思うほど。
七草セットが手に入るのは1年のうちほんの数日だけ。比較的手に入りやすい「せり」が主役の「せり粥」で七草粥気分!
すっきりしたい日におすすめです。
トッピングを加えたり、具材を合わせたり。ぜひ自分好みの「せり粥」をみつけてみてくださいね。
みなさんのいただきますが笑顔でありますように。ごちそうさまでした!