お粥のレシピやお粥に関する情報が知りたいときに役立つ書籍リストです。実はたくさん出版されているおかゆ関連書籍。
おかゆオタク視点で「ここがすごい!」「ここがおもしろい!」という情報を合わせてご紹介いたします。
入手しやすい本
Amazonで新品が手に入る本をご紹介しています。
レシピ本『粥百選』精進粥と中華粥のレシピがたっぷり
前半は精進粥50種、後半は中華粥50種。さらにそれぞれのおかゆに合うおかずのレシピもたっぷり10品ずつ掲載されている充実の一冊!多様なおかゆに触れられます。
『粥百選』高梨尚之・翠香園 、2017年、東京書籍
レシピ本『北京のやさしいおかゆ』お米以外のおかゆも充実
絶版してしまった本を投票で復刻させてくれる「復刊ドットコム」によって2019年に復刊した伝説の一冊です!北京生まれ北京育ち、日本で北京料理を教えていらっしゃる「ウーさん」こと「ウー・ウェンさん」のやさしいおかゆレシピ集です。
本書はお米以外の穀物を使ったおかゆや、果物を使ったおかゆなど、北京のおかゆってこんなに豊かなのか〜!と目から鱗の連続。「北京ではこうなんです」とおかゆ文化の違いを教えてくれたり、「穀物別おかゆ索引」がついていたりと、手取り足取りとにかく親切でやさしい一冊です。写真も美しいです。
『北京のやさしいおかゆ やさしく作れて体に優しいおかゆレシピ』ウー・ウェン、2019年、復刊ドットコム
レシピ本『美味しい、おかゆ』基本の一冊にも◎
医師が書いたおかゆのレシピ本。シンプルなおかゆが充実している印象です。はじめの一冊にもおすすめです。
以下の記事では、より詳しく魅力を深掘りしております。
『新装版 美味しい、おかゆ』帯津良一 (著)、検見﨑聡美 (料理)、2020年、河出書房新社
レシピ本『食べるクスリ おかゆ』作り方も多様な韓国粥
韓国料理の書籍を多数執筆する著者によるおかゆのレシピ本。特徴的なのが、ごはんから作るおかゆ、ミキサーでつくるおかゆ、米からつくるおかゆと、調理法が柔軟なこと。改善したい症状別におかゆが紹介されています。
『食べるクスリ おかゆ』崔 智恩、2010年、ブロンズ新社
原典『典座教訓・赴粥飯法』有名な「粥十有利」が登場する一冊
曹洞宗(禅宗)の開祖である道元が書いた、修行道場における食の考え方を示した一冊。有名な「おかゆには10の功徳がある」という「粥十有利」の”元ネタ”の本です。道元禅師教えは細部にまで渡り厳粛で「おかゆにいいところが10個もあるのか〜!わ〜い!」というのはかなり短絡的で「良いとこどりすぎるなあ」と身が引き締まります。
原文の漢文に読み下し文&現代語訳がついていて、語義の説明も丁寧。時間をかけてゆっくりじっくり読み解きたい一冊です。
『典座教訓・赴粥飯法 (講談社学術文庫)』道元 (著)中村 璋八 (翻訳)石川 力山 (翻訳)中村 信幸 (翻訳)、1991年、講談社
原典『随園食単』名言「人を待たせてもお粥待たすな」の元ネタ
300年前に中国で書かれた「グルメ指南本」です。タイトルの意味は、中国の清の食通である随園(=袁枚)が書いた料理メモ(=食単)。「中華料理のバイブル」とも言われています。有名な「人を待たせてもお粥待たすな」という言葉の”元ネタ”の本です。
随園さんがTwitterをやったらバズりまくりだろうなあと思うほど、博識でキレッキレ。この本を持ちながら中華料理店のメニューを眺めたら面白そうです。
『随園食単 (岩波文庫 青 262-1)』袁 枚 (著)青木 正兒 (翻訳)、1980年、岩波書店
小説『ライオンのおやつ』日常が愛おしくなる物語
おかゆが登場する小説です。
おかゆも、おやつも、やさしくて、おいしそうで、愛おしくて。あらすじは語らずに「いいから読んでみて〜〜〜〜!」と、大切な人にすすめたくなる一冊です。いつか『ライオンのおやつ』に登場するおかゆの再現をやってみたいなあ。
『ライオンのおやつ』小川糸、2019年、ポプラ社
漫画『おかゆネコ』シュールなおかゆコミック
一人暮らしのサラリーマン八郎。ある日突然、なぜか喋れるネコの「ツブ」と暮らすことに。そしてこのネコのツブ、猫舌のくせにおかゆが大好き!ご主人のためにせっせせっせとおかゆを作ってくれるのです!
ちゃんとレシピもついていたり(「これはおすすめしない」とか補足もあったり笑)おかゆウンチクが豊富だったりと読み応えがあります。ただし、決してハートフルコミックではなくて……一言で表すなら「シュール」!ハマったら抜け出せない、クセになる系です。
『おかゆネコ』は全七巻です。
『おかゆネコ(1)〜(7)』吉田戦車、2013〜2017年、小学館
絶版等により入手しにくい本
残念ながら入手しにくいおかゆ関連の書籍リストです。モノによっては、Amazon以外なら手に入るかも?図書館や古書店で探してみてください!
レシピ本『からだが喜ぶおかゆ料理帖』親切な一冊
著者は西麻布の名店「分とく山」の総料理長。調理の工程が細かくてとても親切な一冊。
『からだが喜ぶおかゆ料理帖』野崎洋光、2014年、PHP研究所
レシピ本『あったか おかゆ』ネタ不足とは言わせない!アバンギャルド粥
おかゆ自体の作り方はあっさり終了。この本の魅力は斬新なアイディアです。
たとえば、「よりどり粉末スープかゆ」なら、材料が「おかゆ、好みの粉末スープの素(適量)、粉チーズ(適量)、黒胡椒(適量)」。あ〜…おかゆってこのくらい自由でいいんだよな〜と思えてきます。
ほかにも、ピザかゆ、エビチリかゆ、かにクリームコロッケかゆ………「えっ!?これレシピ!?というか自由すぎない?大胆すぎない?」と笑えてくるほどの革命的なおかゆたち。身体を労わるおかゆのレシピというよりか、心をウキウキさせてくれる元気なおかゆのレシピ集です。
『あったか おかゆ』あまつか じゅんこ、2010年、日東書院本社
レシピ本『美人粥(小林カツ代)』おしゃれなおかゆ
正方形に近いおしゃれな装丁の本書。かの有名な小林カツ代さんのおかゆレシピ集です。おしゃれなおかゆが多くて、見ているだけでわくわくします。
特徴的なのが「おかゆに熱湯を加えてやわらかさ加減を調節する」としているところ。水やお湯を途中で足してはいけない!とするレシピも多い中で、おかゆの作り方はひとつじゃないんだなあ〜と実感します。
ネットで小林カツ代さんのレシピを拝見するには「KATSUYOレシピ」の有料会員登録が必要ですが、サイトに掲載されているおかゆのレシピは『美人粥』に掲載されているものが多数。
ピンポイントでおかゆのレシピが知りたい場合は『美人粥』を入手するのも一案です。
『美人粥』小林 カツ代、2001年、文化出版局
情報全般『美人粥(大場久美子)』超プレミアおかゆ本
女優の大場久美子さんが1985年に書いた本書。amazonの中古価格は20,000円を超えるし(2021年9月時点)、都立図書館にも蔵書がないなど(国会図書館にはもちろんあります)、私が知る限り、最も入手しにくいおかゆの本です。
本のカバー袖に「あのコメットさんがおかゆ娘に変身!」だなんて書いてあるから、ゆるゆる系のエッセイ本かと思いきや、この本、ガチです。世界各国のおかゆのレシピに、おかゆが登場する物語、おかゆのお店に、レトルトのおかゆ……圧倒的な情報量で、おかゆ愛あふれる素晴らしい一冊です。家宝です。
『美人粥』大場 久美子、1985年、辰巳出版