品の良さとゴージャス感が共存する、ひとつの「作品」でした。一度は食べてみたかった、吉兆さんの「ふかひれ姿煮御飯膳」!
なんといっても、吉兆さんですから……先入観ですよね、5万円とか8万円とかのコース限定のすっごく敷居の高いお料理だと思っていたのです。
ところが、ランチタイムの「御飯膳」でいただけるという発見!しかも、ボリューム的な満足感もじゅうぶん◎
きらめくあんの中に、繊細な線が泳ぐ……とでも表現しましょうか。誰が食べても「……!♡」ってなるやつでした。
銀座吉兆「ふかひれ姿煮御飯膳」
銀座二丁目のカルティエの隣のビル「大倉本館」4階の「銀座吉兆」。※正式な表記は「つちよし」の「吉」


予約は一休.comで。特典でアルコール含むワンドリンクがついてラッキー!
なんでもない日にいきなりコースというのは贅沢すぎる気がしたので、ふかひれ姿煮御飯をメインとした3品のコースを選択。2025年5月時点では15,180円/人。

【ふかひれ姿煮御飯膳】全3品+1ドリンク(ホール席)15,180円/人
・膳菜
・ふかひれ姿煮御飯、赤出し
・デザート

結果、全然豪華で大満足でした◎

季節のお料理を堪能
ついたてでゆるやかに区切られたゆったりな「ホール席」。ドリンクをいただきながらお料理を待ちます。



一品目「膳菜」。

あら〜……すてき!この日は、夏越の祓をイメージしたという、茅の輪に囲まれたお料理たち。
どれもやさしい味つけで、食材の風味&食感がイキイキ。ああ、おいしい……!
かつおのたたきにアボカドをあわせたり、白アスパラのすりながしをソースのようにあしらったり、なんかちょっと「洋」な雰囲気もあって、食材の組み合わせがおしゃれでした。

とくに、金色の器、緑のあんのようなものが乗ったまんまるちゃん。木の芽を使ったあんのった「きぬかつぎ」が、ハッとするほどおいしかったです。ちょっと炙ってあるのかな、香りの大人っぽさでお芋の甘みが際立って、しあわせなひとくちでした。
お待ちかねの、ふかひれ姿煮御飯!
膳菜のあとに、2品目。本日の主役「ふかひれ姿煮御飯」の登場です。

ぱかん。キラキラキラキラ〜〜〜〜〜〜……!

ふかひれ、でかっ!

ふかひれ御飯、じゃなくて、ふかひれ姿煮御飯、ですものね!
一口食べたら「……!♡」。
おいしすぎて、しばし無言。困ったなあ……おいしい、しか出てこない……!

細かなふかひれの繊維が口の中でほろほろ〜っと広がる夢時間。ふかひれのコラーゲン質の甘みって、どうしてこうも贅沢な気持ちになれるのでしょう。
薄い飴色のあんは、見た目よりもずっと濃厚。味自体は薄味なんですけど、ねっとり感も覚えるしっかり粘度で、出汁がすごいです、なんと「すっぽん」ですって!なるほど〜、出汁の旨味をしっかりにして味自体は薄味、粘度をあげると上品なままインパクトがでるのか〜……!
これだけ大きなふかひれを、ごはんになじませちゃうんだからすごいですね……!
ふかひれそのものの魅力、あんの工夫(高粘度&すっぽん出汁&薄味)、それからもう一つはこの「二層の米」が感動ポイント。

「白いごはん」の上に、「揚げたもち米」があしらってあるのです!!!
もっちりおいしいごはんと、少しのシャクッと感がある揚げ米。ごはんとあんかけの緩衝材とでも言いましょうか、ちょうど揚げの油分が入ることで絶妙な一体感が生まれるという……!
温度帯がマグマな熱々じゃないのも、「中華のあんかけ」との違いをハッキリ感じる要素なのかも。
ひとくちひとくちに発見がある、すばらしいお料理でした。
いやはや、すごい。これは「作品」ですね。


和三盆のプリン。ちょい固め♡

まとめ
吉兆さんの「ふかひれ姿煮御飯」は、工夫の積み重ねで、品の良さとゴージャス感が共存する「作品」でした。
3品のショートコース(セット)なので、たぶんそれに合わせて分量も調整されているのでしょう。じゅ〜ぶん、満腹!「ああ、ふかひれを食べた〜!」……と、叫びたくなる満足感!
今回はお料理にインスピレーションを受けに行ったので感想がアレですが笑、お料理はもちろん、女将さんのおもてなしも、器も、全てがハレの日にふさわしい、すばらしいものでした。美術館やコンサートのあとのような「いいものに触れた……」と心がほかほかする心地が、長く長く続きました。ちょっとした旅行より非日常だったかも……!
近頃の価格高騰の様子から、きっと「今がいちばん安い」という状況は続くでしょう。あっという間に2万円のお料理になっている気がします。食べたいものを、食べられるときに。このマインド、大事ですね。
すばらしい体験でした。


かゆメモ:おかゆ界に転用するのなら
吉兆さんの「ふかひれ姿煮御飯」、おかゆ界に転用したい知恵が満載でした。
この文脈でちょっと店名は出せないのですが笑、以前国内の某粥店で食べた「ふかひれ粥」。

価格帯も全然違うという前提がありつつも、乱暴な言い方をすると、ただただ「粥+ふかひれ+あんかけ」って感じで……。あんの味が濃すぎて、唐突。ふかひれの必然性がない感じ。
主役食材を引き立てるときは、あんを味でキメるのではなく、とろみ感や旨味で「包む」という視点で組み立てるとよいのかも。
いやはや〜、勉強になりました。

小さいころ、「ふかひれ」のことを「フカフカ」という名前の魚の「ヒレ」だと思ってました……