和え物や茶碗蒸しもおいしいけれど、ゆりねはおかゆにするのが一番おいしいと思うのです。しかもお出汁も入れないシンプルなやつ。
ゆりねを1枚ずつはがすのはたしかに手間ですが、ゆりねのほくほく・とろとろ食感、ゴージャスな甘み……一度味わうと、面倒だなと思う気持ちも飛んでいってしまいます。そのくらい、ごちそう。
ゆりね(百合根、ユリ根)には肺やのどを潤してくれる効果があるので、乾燥が気になるときや咳が長引いてしまったときにも良いのだそうで。お肌を潤すはたらきや、心を落ち着かせる作用もあるという癒しっぷり!
忙しい季節こそ、ちょっぴり手間をかけたやさしいおかゆで、ふぅ〜と一息ついてみませんか。
基本となるレシピのほか、記事後半ではおすすめのアレンジについてご紹介いたします!
生米からつくる『ゆりね粥』のレシピ
調理時間:50分
おすすめシーン:咳が気になる日、美肌ケア、心を落ち着かせたいとき
材料(お茶碗2杯分)
- 生米 1/2合
- 水 700ml
- ゆりね 1/2〜1個
※今回は1個使用 - 塩 小さじ1/3
お好みで
- 自然塩
作り方
ゆりねのおがくずを洗って落とし、一枚ずつにばらす。変色している部分は取り除き、しっかりと土を落とす。
厚手の鍋によく研いだ米、ゆりね、水700mlを入れる。具材のかたよりがないように鍋底をならして、中〜強火にかける。
鍋の中がぽこぽこと沸いたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。鍋にお箸を渡してフタをした状態で、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火で30分煮込む。
さっとアクをすくいとり、塩で味をととのえる。鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。フタをして5分ほど放置して蒸らす。器に盛りつけたら完成!
詳しい作り方
写真つきで作り方をご紹介します。
①ゆりねの下ごしらえをする
ゆりねのおがくずを洗って落とし、一枚ずつにばらします。
変色している部分を包丁かピーラーで削ぐようにして取り除きます。流水で洗い、しっかりと土を落とします。
②鍋の温度を上げる
厚手の鍋によく研いだ米1/2合、ゆりね、水700mlを入れます。具材のかたよりがないように鍋底をならして、中〜強火にかけます。
お鍋はフタつきの厚手のものがおすすめです。今回は宮崎製作所ジオ片手鍋18cmを使用しました。
③コトコト煮込む
鍋の中がぽこぽこと沸いたら、鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜます。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で、ふつふつと波打つ程度の弱〜中火で30分煮込みます。
< ポイント >ゆりねのシャキシャキもたのしむ
コトコト煮込んだとろとろのゆりねもおいしいけれど、さっと火を通したシャキシャキのゆりねもまた美味。鍋の中が沸いたころゆりねを取り出すと、ちょうどシャキほく食感の頃合いです。ぜひ、トッピングとして使いましょう!
取り出したゆりねは流水で熱を取り、ざるにあけておくと、水っぽくならずにおいしいです。
④味付け&蒸らし
さっとアクをすくいとり、塩(小さじ1/3程度)で味をととのえます。鍋全体をゆっくりとまぜたら、火を止めます。
フタをして5分ほど、放置して蒸らします。
取り出しておいたシャキシャキのゆりねとともに、器に盛りつけたら完成です!
いただきます!気になるお味は?
うつくしい。真っ白なゆりね、真っ白なおかゆ。きれいですね〜……!
シャキシャキのゆりねをバラのようにもりつけました。
すごく凝った盛りつけにみえるけれど、実はかんたんなバラのもりつけ。大きいかけらのゆりねを外側に並べて、その内側に小さいかけらをずらして並べるだけです。
ゆりねのゴージャスな甘い香りと、バラのようなもりつけ、とっても似合う!
見た目にキュン、そして、お味にも……!♡
ほくほく&とろとろのゆりねが、おかゆと一体化して、それはそれはしあわせ〜……!
華やかな香りも、栗やお芋のようなやさしい甘みも、上に乗せたシャキシャキのゆりねも、すべてがしあわせ。
気持ちも身体も、ふわっとやわらぐひとときでした。
アレンジするなら?
途中でゆりねを取り出さずに、すべてをとろとろに煮込んでしまうのもおすすめです!
とろ〜っと、くた〜っとしたゆりねの甘みを存分に堪能。なじみをよくするために、水を50〜100mlほど多めにして、とろみ感を出すのもおすすめです。
具材を組み合わせるなら、ちょっぴりマイナーな食材ですが「蓮の実」はいかがでしょうか。蓮の実&ゆりね粥。
お豆のような食感はゆりねとの相性抜群!
さらに蓮の実にも心を落ち着かせる作用があるそうなので、ゆりねと組み合わせれば、究極の癒し粥に。
ほかにも、はちみつの甘みをちょい足ししたり(のどが痛い日に良いですね◎)、黒胡椒で温め効果を高めたり。
ぜひ、自分好みの「ゆりね粥」をみつけてみてくださいね。
そもそもゆりねって何?
ゆりねはコオニユリ、ヤマユリ、オニユリなどの鱗茎、つまりユリの球根です。(同じく鱗茎を食べるものに玉ねぎがありますね!)
たしかに名前の通り、「ユリ・根」なのでしょうけど、姿のギャップが大きくて。にわかには信じがたい。
でもでも、「ゆりね 栽培」と検索をしたら、食用のゆりねを植えて花を咲かせた方を発見!
ゆりね=ユリの球根というのは、ほんとうだったんだ……!
ゆりねから根っこがでて、わしゃわしゃとユリらしい葉っぱが生え、なんと1mほどに成長、そして大きな大輪の花!ゆりねの生命力ってすごいんですねえ。
もちろん、食用と観賞用は違うから観賞用のユリの球根を食べるのは絶対にダメですが、食用のゆりねを育てるのはぜひともやってみたい。
食べたい欲をがまんして、一度実験してみたいな〜と思ったのでした。
みなさんのいただきますが笑顔でありますように。ごちそうさまでした!
ゆりねには肺やのどを潤し、不足している体液を養う働きがあります。咳止めや喉の乾きの改善に役立つ食材です。心の熱を沈め、たかぶった神経を落ち着かせる作用があり、不眠や不安感、イライラなどを和らげるのに有効です。肌に潤いを与える作用もあるので、乾燥肌、しわなど、肌トラブルがある人にもおすすめです。
『増補新版 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』喩静・植木もも子、2018年、西東社 P.148「ゆりね」より