京都の名店「瓢亭(ひょうてい)」さん。
瓢亭はなんと400年の歴史を持ち(!)、ミシュラン最高ランクの3つ星を13年維持(!)している、京都を、いえ、日本を代表する名店です。
瓢亭の本店でいただく朝がゆは、体験です。
お料理もさることながら、風情のあるお庭、お店の佇まい、おもてなし……どれかひとつだけを切り取って語ることのできない、一連の体験なんだ、と感じました。
今回は瓢亭の本店で7〜8月にだけいただくことのできる「朝がゆ」をご紹介いたします。
くたびれた夏の身体にすーっと沁みる、とびきり贅沢な朝ごはん。人生に一度は是非。
お席までの風景がすごい
夏の朝。一ヶ月ほど前から予約していた、伝統の朝がゆを求めてやってきました。
京都南禅寺近くの閑静なエリアにある、老舗料亭「瓢亭(ひょうてい)」さんの「本店」。オーラがすごいです。
ありました、ひょうたんマーク!
「懐石料理 朝かゆ 京南禅寺湖畔 瓢亭 本店」の旗が目印。
懐石料理です、懐石料理!緊張です……!
「お正座の席でも大丈夫ですか?」と尋ねられ「はい」と答えると、奥へ奥へと進みます。
暖簾をくぐり足を進めると、涼しさを感じる青々しいお庭とご対面!
夏の光で茅葺に茂る苔がキラキラ〜……!緑がキラキラ〜……!
こんな素敵な景色が広がっているだなんて!非日常。ぐっと体感温度が下がる不思議な心地です。
お庭をぐんぐんと抜けて案内されたのは、一番奥のはなれ。
わあ、素敵!ゆっくりいただきたかったから個室はうれしいな。
ちなみに予約の時点でお席の指定があるわけではなくて、訪れたタイミングと、正座がOKかNGかでお部屋が決まるようです。
案内いただいたこちらのお部屋、中からの景色も最高!
緑を通り抜けた夏の光がやわらかに降り注ぎます。
水の音に目を向けると、鯉がゆらゆら。ああ、風流。ああ、素敵。
うっとりししてうると、さっそくお料理がはじまりました。
「朝がゆ」までの流れがすごい
「まずは梅湯から、お口をさっぱりさせていただければと思います」と、湯呑みがちょこん。
木のふたを開けると、ふわっと昆布の香りが!
ああ〜……お出汁〜……!梅のさっぱり〜……!
お、おいしい〜……!
ゆっくりゆっくり丁寧に、味わいます。
「すっきりするねえ、おいしいねえ」「器もすてきだねえ」とひとつひとつに感動。
そうこうしているうちに、かの有名な「ひょうたん型三段重」「瓢亭たまご」の登場です!
きゅうり、なす、みょうが、枝豆……旬の食材がぎゅっと詰め込まれています。
炊き合わせ、和え物、酢の物、笹寿司、瓢亭たまご……
品の良いやわらかなお味の中に、キリッと香りで引き締められたり、シャキッとした食感のリズムがあったり。
お料理に緩急があって一口一口が愛おしい!
ああ、おいしい。おいしいじゃ足りないくらい、おいしい。
温かいお料理が続きます。
海苔とお豆腐のお椀。
丁寧な鰹出汁のやさしさに白目になりそう……!
はい、このあたりで語彙の限界です。もう「すごい」「おいしい」しか出てこなくなってきます。笑
そして、かわいらしい小ぶりな鮎の塩焼き。
じ〜っくり焼かれた鮎は、パリッ、ほろっ、じゅわ〜……!しあわせ。
頭から尻尾まで、まるっといただきました。
梅湯で温かくさっぱりさせて、涼を感じるお料理をたのしんで、次第にお腹を温めて。
すごいですね〜……夏の疲れを内側からほぐすようなお料理の流れ!圧巻です。
ついに!伝統の「朝がゆ」をいただきます
頃合いを見計らって炊いてくださっているのでしょうね。
ついにフィナーレ……!本日の主役、おかゆさんとご対面です。
おはよう、おかゆさん!
キラキラ〜〜〜〜!夏野菜のお漬物と一緒にいらっしゃいませ。
まぶしいですね……!
鉄鉢のような厚手の器にたっぷりのおかゆさん。とろっとろの白粥です。
ああ、お米が、立ってる。どうして?おかゆなのに、立ってる!
米粒が凛々しいのに、贅沢なとろみが広がっています。
おいしい。
そして極めつけは……
お出汁がしっかり効いた「葛あん」をたら〜り。
まぶしすぎる。おいしすぎる。
こんな贅沢にお出汁を使ってギドギドしないなんてどういう仕組みなのだろう……分析不能!
感動です。
たっぷりのごちそうをいただいたあとなのに、もちろんペロリ!
最後の最後の一粒までいただきました。
あっという間の1時間。濃厚な1時間。
大変おいしゅうございました。ごちそうさまでした。
↑なんと!瓢亭のおかゆ・葛あんかけの作り方が掲載されています!↑
まとめ
お恥ずかしながら「あ〜、うんうん、有名店の人気のおかゆね」と少し斜に構えていた部分もあったのです。
しかし、予想を遥かに超える素晴らしさに絶句。さすが名店、さすが老舗。
瓢亭本店での朝がゆ懐石は、五感がおなかいっぱいになるすばらしいひとときでした。
「本店」での朝がゆは7月・8月の2カ月限定!
暑さで疲れの溜まった夏の身体にすーっと沁みる心地も含めて「瓢亭の朝がゆ」なのかも、と感じました。
「瓢亭たまごって半熟卵でしょ?」「ああ、瓢亭のおかゆね、『美味しんぼ』の究極のおかゆでしょ?」と、知ったつもりになるなんてもったいない!
是非、暖簾をくぐるところから、おかゆをいただくところまで、一連のストーリーを”体験”してみてください。
【参考】瓢亭の「本店」と「別館」の違いとは?
瓢亭の朝がゆをいただける場所は本店だけではありません。
実はお隣の「別館」でも同じおかゆをいただくことができるのです!しかもお安く!
え?それなら別館のほうが良いの?と思いきや、一概にそうとも言えないのです。
一番の違いが提供時期。
瓢亭では、冬は鶉粥、主に夏には「朝がゆ(白粥)」が提供されます。
別館では一年を通しておかゆをいただくことができますが、本店はタイミング次第。3月下旬〜6月、9月〜11月は本店で朝のおかゆの提供を行なっていません。
本店の方がレア度が高いというわけですね。
店舗 | 本店 | 本店 | 別館 | 別館 |
---|---|---|---|---|
メニュー | 朝がゆ ¥6,957 | 鶉がゆ ¥15,180 | 朝がゆ ¥4,840 | 鶉がゆ ¥4,840 |
1月 | ー | ● | ー | ● |
2月 | ー | ● | ー | ● |
3月 | ー | ▲ 〜3/15 | ▲ 3/16〜 | ▲ 〜3/15 |
4月 | ー | ー | ● | ー |
5月 | ー | ー | ● | ー |
6月 | ー | ー | ● | ー |
7月 | ● | ー | ● | ー |
8月 | ● | ー | ● | ー |
9月 | ー | ー | ● | ー |
10月 | ー | ー | ● | ー |
11月 | ー | ー | ● | ー |
12月 | ー | ● | ー | ● |
瓢亭 本店・別館 提供時期以外の違い
提供時期以外にも違いがありまして。違いを一言でいうと、本店はかっちり・別館はカジュアル。
- 店構え
- お席
本館はお座敷、別館はテーブル席 - 価格
- お料理内容
※本館では朝がゆに「鮎塩焼き」がつく など - 定休日
本館は毎週水曜日、別館は毎週木曜日
瓢亭 本店・別館 どちらがおすすめ?
本店・別館、両方で「朝がゆ」をいただいたわたし個人の感想ですが……
断然「本店」がおすすめです!
朝がゆの価格で比較すると、本店では6,957円、別館では4,840円と、約2,000円の違いがあります。
でも、でも、でも!
価格差以上の大きな違いがあると感じました。
本店の、風情のあるお庭を抜ける「異世界ワープ感」も、店構えの趣も、正座で丁寧にいただくということも、すべてがお料理のおいしさにつながっていて……瓢亭の世界観も含めて味わい尽くすのなら、断然、本店がおすすめ!という答えになります。
ただし!繰り返しになりますが、本店での朝がゆは7月1日~8月31日の夏季限定。
タイミングが許すのであれば、是非!本店で!朝がゆを!体験してみてください。
「瓢亭 本店」 店舗情報
※2022年7月現在の情報です。
定休日:水曜日
営業時間:12:00~15:00 閉店(L.O.13:00)、17:00~21:30 閉店(L.O.19:00)
※7月1日~8月31日の夏季限定の「朝がゆ」
8:00〜11:00(最終入店10時)
所在地:京都市左京区南禅寺草川町35
公式サイト:
食後の興奮状態の頭を冷やしに
足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
とっても素敵でした。