むかしむかし あるところに アルトコロニ村 という ちいさな村が ありました。
アル・ト・コロニじいさんと アル・ト・コロネばあさんが 山をたがやして つくった 村です。
コロニじいさんは はしっこがだいすきでした。
まちの はしっこ、森の すみっこ、パンの耳。
「まんなかよりも はしっこに いいものが つまっているんじゃよ、ふぉふぉふぉ」
そういって へやの すみの つくえのしたに ふとんをひいて ねむるのでした。
コロネばあさんは うずまきがだいすきでした。
せんめんきのみず、かたつむり、アイスクリーム。
「ぐるぐるまきの まんなかの さきっぽが たまりませんねぇ」
そういって ミイラのように もうふにくるまって ねむるのでした。
そんなふたりが つくった アルトコロニ村には いまでも ときどき 旅人が まよいこみます。
アルトコロニ村の やさしい村人は ふかふかの お布団を しいて 旅人たちを もてなします。
「ねなさい、ねなさい。たっぷり、ねなさい。ぐるぐるまきで、すみっこで。旅のつかれも あしたの ふあんも ぜんぶ ふきとびますから」
そして あさには 村のめいぶつの パンを つくります。チョコレートが はしっこまで たっぷりと つまった「コロネ」という ぐるぐるまきの パンです。
「ころころ ころね、ころ、ころね。コロネを たべたら だいじょうぶ。ほらね ころころ げんきに なるでしょう」
旅人たちが すっかり おどろいて「すごい パンだ!つくりかたを おしえてください!」と おねがいすると、アルトコロニ村の やさしい村人は もちろん パンの つくりかたを 旅人たちに ていねいに おしえるのでした。
こうして 「コロネ」という げんきのでるパンが せかいじゅうに ひろがったのです。
つかれてしまったのに アルトコロニ村が みつからない?
だいじょうぶ。
コロネのように うずまきになって すみっこで たっぷり ねむりましょう。これが あさには きっと げんきになれる いちばんの まほうです。