温泉を食べてきました!白骨温泉の温泉粥の魅力。

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「温泉粥」ってご存知ですか?

「温泉」は温泉の湯や蒸気などの「熱」を利用したもの。ということは「温泉粥」も温泉の熱で炊き上げるお粥?……と、思いきや。

なんと!「温泉粥」は材料として温泉を使うのです!

小梨の湯 笹屋の温泉粥をすくっている写真
温泉で炊かれた「温泉粥」。

温泉効果でお米がふっくら。食べた後もじんわり身体が温かくて。まるで食べる温泉でした……!

もくじ

なぜ「白骨温泉」?

温泉粥を求めて向かったのは長野県「白骨しらほね温泉」。

あまりメジャーな料理ではないけれど、実は新潟県や和歌山など日本各地で食べられるという「温泉粥」。そのなかで白骨温泉の温泉粥に惹かれたのは、郷土料理として家庭で愛されてきたものが旅館で食べられると知ったからです。

温泉は、白硫黄と炭酸成分を直接体内に摂ることで、消化器系の臓器の血流が良くなり、臓器の働きをよくするとともに便秘にも効果があるようです。(中略)また、本来、家庭で食されてきた郷土料理が評判になった白骨温泉の名物、まろやかな「温泉粥」もぜひお試しください

白骨温泉公式ホームページ「お湯(温泉)について」(http://www.shirahone.org/about-hot-springs)より
※太字は鈴木により

わざわざ名物のお料理として”生み出した”ものではなくて、自然と”生まれたもの”という点がいいですよね。「きっと食べる理由があるからなのだろうな」と感じたのです。

今回は温泉粥を提供していること、それから貸切露天風呂があることが決め手となって、旅館「小梨こなしの湯 笹屋」さんに宿泊しました!

小梨の湯 笹屋の外観の写真

白骨温泉はこんなお湯

白骨温泉は……遠いです……!

新宿から松本まで特急で約3時間。松本から新島々という駅まで電車で30分。さらにそこから険しい山道をバスで揺られること1時間。ふう、ふう。

松本から新島々の移動の電車
白骨温泉への移動するバスからの景色

長い長い道のりの先で出会える名湯がこちら!

白骨温泉小梨の湯 笹屋の貸切風呂の写真

おおおお!神々しい乳白色の湯!

湯はやわらかで、とってもシルキー。ほわっと硫黄の香りが漂います。

ちなみに日本各地にある乳白色の温泉は強酸性がほとんどだそうで、乳白色なのに弱酸性〜中性である白骨温泉は大変珍しい性質のお湯。見た目がきれいなだけでなくて、成分的にもやさしくやわらかいお湯なのですね。

そして、もう一つ特徴的なのが湯船の周りの模様。波打ち際のような、ふしぎな柄。

白骨温泉小梨の湯 笹屋の貸切風呂の床のアップの写真

おっしゃれ〜と思ったら、これ、温泉成分が沈殿して固まったものなんですって!すごい!

実は「白骨温泉」の名はこの白い湯船がルーツ。

温泉成分が湯にくっついてくなることから「白船しらふね温泉」と呼ばれてたのが、そもそもの名前。しかし、大正時代にとある小説で「白骨しらほね温泉」と呼ばれて、一般にその名が普及。すっかり定着して今に至る、というワケなのだそう。(定着しちゃうのがすごい。笑)

白骨温泉小梨の湯 笹屋の貸切風呂の床のアップの写真

白骨温泉という字面的からは白骨化したナニソレが思い浮かんでしまって一瞬ホラー感があるけれど、ちょいコワな名前が秘湯感を高めてるのかもしれないな〜なんてくだらないことを思ったりしました。

飲んでみるとこんなお味

そんなやさしくやわらかい白骨温泉のお湯は can drink!飲泉することができます

飲泉用のカップで汲んで、少々いただきますと……

白骨温泉小梨の湯 笹屋の飲泉の写真

ほんのり硫黄の香り&鉱物感

口当たりはコントレックスのような、力強い硬水。でも不思議と後味はすっきりしていて。苦味やしつこさがないという不思議!

硫黄の香りを口に運ぶってそれなりに抵抗感があって。匂いからすると、強い酸味やすごく苦い味がやってきそうな予感がするのに、後味がすっきりで混乱。経験則から外れるから、嗅覚と味覚がバグる感じ。

おいしくてごくごく飲んじゃう!ってわけではないのだけど、身体に入れるとすっと馴染んで、おなかからじわ〜っと温まる感じがして。普通のお湯とは全くの別物。なんというか……心地よい!!!

飲む温泉は味覚ではなくて身体でたのしむものなのかも?と感じたのでした。

温泉を”食べる”。

そんな”心地よい”温泉を、飲むだけではなく、食べちゃおう!というのが今回の旅の趣旨。

「小梨の湯 笹屋」さんではお粥以外にも温泉使用のお料理が登場。

温泉しゃぶしゃぶ

お夕食では「しゃぶしゃぶ」!

小梨の湯 笹屋の夕食のしゃぶしゃぶの写真
小梨の湯 笹屋の夕食のしゃぶしゃぶの写真

温泉の湯でお肉やお野菜をしゃぶしゃぶ♪お肉がやわらか〜い!

ほんのり硫黄の風味がついて、わずかに燻製感が加わるという驚き!スモーキーな香りとお肉。合わないわけがなく。おいしい、おいしい、おもしろい!

温泉湯豆腐

そして、朝食では「湯豆腐」。(これぞ本物の豆腐!)

小梨の湯 笹屋の朝食の写真
小梨の湯 笹屋の朝食の湯豆腐の写真

あらっ、こちらもおいしい!♡

しゃぶしゃぶは香りづけという感じだったけれど、湯豆腐はほんのり塩っけのようなものも感じます。

シンプルなお料理になるほどに、温泉ならではの特徴が出るのかも。お粥への期待が高まります!

温泉粥

そして。いよいよ今回の目当て「温泉粥」は朝食のメイン。じゃじゃーん!

小梨の湯 笹屋の温泉粥の写真

ほ〜……!

小梨の湯 笹屋の温泉粥をすくっている写真

ほ〜〜〜〜〜!!!

見た目こそ普通のお粥さんですがが、どういう仕組み?ってくらいお米が甘い。お米がふっくら。繊細なとろみ感とお米のやわらかさを持ち合わせているのに、決してべちゃべちゃせずに、お米がふわっ♡

飲泉の時に感じた硬水ならではの味の角ばりを一切感じないのも不思議。硫黄の香りもごくごくかすかに感じる程度。それでいて、飲泉と同じ身体に馴染む心地、おなかからじわ〜っと温まる心地は健在です。

じわじわ、ぽっぽ、ほわりほわり。

身体の内側からエンジンがかけられるような、不思議な温かさが込み上げてきます。

一緒に食べていた夫も「ねえねえ、すっごく身体が……暑くない?」と召し物をパタパタ。

これは……食べる温泉だ……!

ほんとうに驚くほどに身体が温まるのです……!

小梨の湯 笹屋の温泉粥の写真
おかわりOK!

お話を伺ったところ、材料は「米・温泉のみ・・。お塩は入れずに、お水も使わずに、100%温泉のみで炊き上げるのだそう。硫黄の香りやミネラルっぽさなどの個性がマイルドになるのは「長い時間火にかけるから多少は飛ぶ・・のかもしれません」とのこと。なるほど〜……!

温泉を使うことによって食材がやわらかく仕上がる効果もあるらしく(しゃぶしゃぶのお肉がやわらかかったのもいいお肉だからってだけじゃないのか!)、私が感じた「ふわっ♡」は温泉で炊き上げるお粥ならでは食感なのかもしれません。

ふう、いいお湯でした……じゃなかった、ごちそうさまでした!

まとめ

これまで数々のお粥を作ったり、食べたりしてきたけれど、ここまでオンリーワンなお粥さんは初めてでした。

白骨温泉そのものにも惚れ込んでしまって、温泉粥にもメロメロにもなっちゃって。

でも、飲泉口からペットボトルにお湯を汲んで、東京に戻って再現をしても、絶対に同じ味にならないだろうという確信があります。

白骨温泉の飲泉口
バス停のそばに飲泉所もありました。
湧き出したばかりの湯は「透明」!

たぶん、”湧き出たばかりの新鮮な温泉”というのも重要だろうし、あのなが〜〜〜い山道を抜けていくという”旅”もとてもとても大事なことで。

もっと感覚的なことを言うのなら、自然からの恵みである温泉を求めて足を運んで、温泉に浸かって身体で感じたあとに、温泉粥をいただいて内側からも感じる。この一連の流れから何かを奪ってしまったら、きっと別のものになってしまうのだろうな〜とも思うのです。

だから、また、行きたい!行って、食べたい!日本中の飲める温泉をその場でお粥にして食べてみたい!

そんなふうに感じた、温泉粥との出会いでございました。

小梨の湯 笹屋の外観の写真

おまけ

笹屋さん名物の「岩魚いわなの笹巻き」、「そばがき」も絶品でした……!

岩魚の笹巻きの写真
岩魚の笹巻きを広げたの写真
そばがきの写真

頭も背骨もまるっと食べられるほどやわらか〜い岩魚。おいしすぎる。酒泥棒すぎる。そばがきの香り高さにも、さすが信州!蕎麦の国!と膝を打ちました。

それからそれから、夕飯でいただいた「岩魚いわな骨酒こつざけ」もなかなかの衝撃体験。

岩魚の骨酒の写真

炙った岩魚に熱燗を注いで魚の香りをたのしむ大人な一品。

あとあと!

笹屋さんのお料理に使われていたお醤油がとっても美味しくて。お尋ねしたら松本の「大久保醸造」さんのもの、と教えてていただきました。

ちょうど松本を経由して帰るから、もしかして……?と電話をしてみたら小売もしていらっしゃるとのこと。最高においしいお醤油と出会うことができました……!

大久保醸造の写真
大久保醸造で購入した醤油の写真

あー、あれもこれも!どこかで詳しく語りたーーーい!おいしいおいしい、信州旅でした。

https://twitter.com/kayu_szk/status/1600312946797981696

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運営者情報

鈴木かゆのアバター 鈴木かゆ お粥研究家

お粥研究家。24時間おかゆのことを考えている人。「食事でじぶんを整える」をテーマに、毎朝の自分の体調に合わせたおかゆを作っている。お粥を作るのも食べるのも見るのも大好き。

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